職場トラブルよろず相談所

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「休業手当6割以上」なのに実際は4割 70年前の政府通達が影響も

新型コロナウイルスの感染で休業手当の金額が少ないとの声が相次いでいる。一般に給料の「6割以上」として知られるが実際は4割程度にとどまり、生活保障の役割を果たせていないからだ。70年以上前の政府通達に基づいた計算方法が原因で、不合理だとの批判が強い。
◆給料の6割でなく平均賃金の6割
 「6割以上」とは、労働基準法で定める「平均賃金」の6割であって、給料の6割ではない。1日当たりの平均賃金は、直近の給料3カ月の合計を、土、日など休日も含め3カ月の総日数で割って算出する。休日も含めた総日数で割るためこの額は低くなるが、手当を出すのは休日を除いた勤務日数だけの決まり。さらに6割の水準になるため、月額で計算すると、支給金額は従来の給料の4割まで低下してしまう「数字のマジック」が生じるのだ。
 表で示すように給料が月30万円の人が丸々1カ月休業した場合でも、手当は12万円しかもらえない。
◆「休日は休業手当を支給する義務なし」
 1949年に出た政府通達で「休日は休業手当を支給する義務はない」とされた。70年余りたった今、長期の休業が続出する前例ない事態が起き、制度の盲点が浮かび上がった。厚生労働省の担当者は「法定の水準はあくまで最低水準。金額は労使で話し合って決めて」と言うにとどまる。
 問題を指摘してきた指宿昭一弁護士は「今の計算方式は明らかに不合理で生活保障にならない。通達を変更すべきだ」と提言する。