オーバーワーク(不法就労)した外国人への賃金不払い問題が多発している。外国人労働者は、労働基準監督署へ違反(賃金不払い)の申告をした場合、入管へ通報されることを恐れて、泣き寝入りするケースが散見される。
国の見解は、「申告に対応する過程において、申告等に係る外国人労働者が不法就労者であることが判明することがあり得るが、労働基準監督機関としては、まず、法違反の是正を図ることにより本人の労働基準関係法令上の権利の救済に努めることとし、原則として入管当局に対し通報は行わないこととしている。」のである。
心配しないで労働基準監督署へ違反(賃金不払い)の申告をして欲しい。
引用元 社長のための労働相談マニュアル
https://www.mykomon.biz/gaijin/koyo/koyo_keiyaku.html
国の見解
入管法上不法就労である外国人労働者の入管当局への情報提供について
外国人の不法就労等に係る対応については、昭和63年1月26日付け基発第50号及び基発第4号において通達、指示しているところであるが、本通達の運用に関連して、最近、労働基準監督機関に対する申告・相談に係る出入国管理行政機関への情報提供について一部において疑義が生じている面があることから、外国人労働者相談コーナーが設置されたことに伴い、これを明確にするため、本省においては、報道機関等への対応について別紙の方針で対応することとしたので、貴職におかれても、業務の運営、報道機関等からの問い合わせに対してこれを踏まえて対応されたい。
別紙
問 入管法上不法就労である外国人労働者が労働基準監督機関に対し申告、相談を行った場合、入管当局に対する通報を行うのか。
答1 労働基準法等労働関係法令は外国人労働者に対しても適用されるものであり、申告、相談を通じて外国人労働者について、賃金不払、最低賃金違反等法違反の事実を承知した場合には、労働基準監督機関として当然その是正に努めることとなる。
2 ところで、申告に対応する過程において、申告等に係る外国人労働者が不法就労者であることが判明することがあり得るが、労働基準監督機関としては、まず、法違反の是正を図ることにより本人の労働基準関係法令上の権利の救済に努めることとし、原則として入管当局に対し通報は行わないこととしている。
今回、都道府県労働基準局に設置することとしている「外国人労働者相談コーナー」における取扱いも同様である。
3 なお、不法就労者を放置することが労働基準行政としても問題がある場合、すなわち、①不法就労者に関し重大悪質な労働基準関連法令違反が認められた場合、②不法就労者に関し労働基準関係法令違反が認められ、司法処分又は使用停止等命令を行った場合、③多数の不法就労者が雇用されている事業場があり、当該不法就労者について労働基準関係法令違反が行われるおそれがある場合等については、入管当局に対し通報を行うこととしている。
(平成元年10月31日 基監発第41号 ※なお、本通達は部内限扱いであるため、以下の著書から転載しました。出典:「外国人労働者と労働災害 天明佳臣編著 海風書房 1991.8.1)