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骨抜きにされる職業安定法の理念 外国人の苦境に乗じる貧困ビジネスに歯止めを

私たちの活動が東京新聞で紹介されました。この記事で紹介されているミャンマー🇲🇲人への呼びかけ文は、私たちがSNSにアップしたものです。
骨抜きにされる職業安定法の理念 外国人の苦境に乗じる貧困ビジネスに歯止めをかけるべきです。
 
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骨抜きにされる職業安定法の理念 外国人の苦境に乗じる貧困ビジネスに歯止めを

東京新聞 2022年4月19日 06時00分

 ミャンマー人の留学生らが、就職紹介をうたう企業に多額のお金を払わされる例が相次いでいることが分かってきた。求職者からの手数料の徴収を禁じた職業安定法の理念は「骨抜き」にされているのが実態だ。母国の政情不安に直面する外国人の苦境に付け込む貧困ビジネスの横行に、歯止めをかける必要がある。(編集委員・池尾伸一) 

 

 一般に職業紹介業は、人材の紹介を受ける企業からの報酬や求人広告料で利益を得ている。だが外国人向けでは、ブローカーや業者による求職者からの搾取がはびこる。
 研修を名目に外国人が日本で働く「技能実習制度」では、仲介業者が数十万から時に100万円を超える借金を背負わせて日本に送り出し、給料から返済させる慣行が続く。
 留学生向けの一部の職業紹介業者は、面接指導などの名目でお金を徴収するが、指導の実態は乏しい。一方でお金を払わねば紹介は受けられず、実質的には紹介手数料の性質が濃厚だ。
 指宿昭一弁護士は数年前、50万円以上の手数料を払い戻ってこなかったネパール人の相談を受けた。被害状況を厚生労働省に伝えたが業者への指導はなく「政府は外国人の権利を守る意識が弱い」と批判する。
 
政情不安にさらされる人々への政府の人道的配慮も乏しい。ミャンマー人の難民申請が急増する中、昨年1年の難民認定は、3000人以上の申請に対しわずか32人。政府は昨年5月、就労も認める在留資格を与える緊急対応を打ち出したが、在留期間は6カ月限定(今年4月15日からは1年間限定)で、期限ごとに厳格な審査を受けねば更新されない。「この資格では満足な賃金を得られる仕事に就くのは難しい」(在日ミャンマー人)という。
 一方、日本で身につけた技能を生かせる企業に就職できれば5年の在留資格が得られる。母国に帰るに帰れず、緊急対応策でも救済されないミャンマー人留学生らはわらをもつかむ思いで「就職紹介ビジネス」に頼っているのが現状だ。
 
 政府はウクライナからの避難民には当初から、1年の滞在ができる資格を特別に与え、就労支援や住宅支援も行う。全国難弁護団連絡会議代表の渡辺彰悟弁護士は「ウクライナだけでなく政情不安で母国に帰れない人々が自立できる環境を整えるべきだ」と話す。