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JAMゼネラルユニオンの活動が毎日新聞で紹介されました

毎日新聞 2021年6月7日朝刊
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 母国でのクーデターに抗議する在日ミャンマー人の活動が、批判にさらされている。新型コロナウイルスの感染を広げかねないとして、「デモなんかするな」「国へ帰れ」と心ない言葉を浴びせられているのだ。ミャンマーの人たちの心情を知ろうと、抗議集会に足を運び、当事者の声に耳を傾けた。取材を進めると、職場に解雇や休職をちらつかされ、集会参加すら許されない実態が見えてきた。
 「ミャンマーを解放せよ!」「指導者を解放せよ!」。大型連休中の5月2日、在日ミャンマー人ら約350人が神戸市内の公園で抗議集会を開き、シュプレヒコールを上げていた。
 ミャンマーでは2月にクーデターが起き、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)から国軍が政権を奪った。国内外で国軍への抗議運動が活発化し、日本でもデモや集会が相次いでいる。この日の集会で、参加者は母国の犠牲者へ弔意を示す黒い服にマスク姿で、互いに距離を取って並んでいた。緊急事態宣言下のため、予定していたデモは中止にした。
 在日ミャンマー人たちは自由に集会にも参加できないジレンマを抱えている。
 「私たちは、何かあればすぐに『国に帰って』と言われる。『仕事以外は何もするな』と思われている」。近畿地方の工場で技能実習生として働く20代のミャンマー人女性はつぶやいた。
 この女性もクーデターに抗議するため、2月上旬に神戸市内の集会に参加した。しかし、実習先の幹部から「コロナに感染したら困る。今後は絶対に行くな。もし行ったら仕事を休ませる」と注意されたという。会社の寮に住んでおり、遠出には報告が必要だ。週6日、午前9時から午後6時ごろまで働き、手取りは月12万円程度。母国の家族への仕送りや家賃を除いた3万円で1カ月の生活をやりくりする。その後はデモへの参加を断念している。
 労働組合「JAMゼネラルユニオン」(東京都港区)には、埼玉県や岐阜県など全国の技能実習生から「コロナ禍を理由にデモへの参加を禁止された」という相談が約30件寄せられている。実習生にだけ、「デモに参加したら仕事を辞める」という誓約書に署名させたケースもあったという。
 コロナ禍での抗議活動には批判や中傷が絶えず、ネット上には「国に帰ってやってください」という書き込みが並ぶ。大阪府に住む留学生のシュエイー・ウィンさん(22)は心を痛め、2月にツイッターで「日本人の皆さん(へ)」と題したメッセージを投稿した。
 「コロナ禍の中、ミャンマー人が多く集まり、抗議していることを申し訳なく思っております。自分の国の平和と夢のために頑張って生きるためなのです。ミャンマーで起きている事件は、もはや国内では解決できない問題となっています」
 日本はミャンマーに多額の政府開発援助(ODA)を行い、金額非公表の中国を除けば最大の支援国だ。クーデター後は新規のODA案件を事実上停止しているが、経済制裁には慎重な立場を示しており、約3万3000人(2020年6月末現在)の在日ミャンマー人の間では不満が高まる。
 ウィンさんは、コロナ禍での日本人の心情に配慮する一方、母国で犠牲者が絶えない状況を見ると、行動を起こす必要を感じている。「少しでも関心を持ってもらえたら、状況は変わるかもしれない。日本人の皆さん、どうかミャンマーを無視しないで」【古川幸奈】
 

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