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不況と戦う労組結成仕掛け人 「目標と明確な戦略持て」【朝日新聞】

不況と戦う労組結成仕掛け人 「目標と明確な戦略持て」

朝日新聞 2008年12月21日10時0分

 

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組合の結成を目指すフリーのライターや俳優の相談を受ける古山修さん=池田良撮影

 

 不況による解雇に立ち向かおうと、今年1年で20の労働組合の結成に携わった人がいる。東京都港区の連合東京副事務局長の古山修さん(59)だ。最近は、外資系企業に勤める外国人も相談に来る。古山さんは「組合が自分と家族を守る存在であることを知ってほしい」と訴える。

 古山さんが今年かかわった組合は、出版社、産業廃棄物業者、ゴルフ場経営、製薬、派遣、音楽関連、運送会社……。あらゆる業種にまたがっている。

 リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)以降、外資系企業に勤める外国人の相談者が増えた。今年はフランス人、イギリス人、カナダ人、中国人などから約20件の相談を受けた。

 昨年、リーマンの組合をつくった時、会社側の窓口役だった人事部の米国人女性は、のちに「夫が解雇されそうなので助けてほしい」と駆け込んできた。別の外資系企業の交渉相手だった日本人弁護士も、その後自分自身が事務所を解雇されそうになり、相談に来た。「いつ立場が変わるか分からない時代」と古山さんは感じている。

 連合東京で働き始めて17年で約300組合を結成。昨年から派遣や請負で働く人の組合や、金融系企業の組合が増えてきたという。「バブル期に弱まった組合活動が、ここに来て急速に活発化しているのを感じる」。相談者が来ると、少人数の仲間を集めるよう指示する。千人規模の会社でも4、5人の中心メンバーで十分だという。

 「ビラをまいて、人さえ集めればいい時代は終わった。職場環境の向上という積極的な目標を立て、戦略を明確にすることで、組合は頼られる存在になれる」

 組合の準備段階で重要なのは「恨みつらみや会社との対立という図式で組合をつくらないこと」。古山さん自身、かつて勤めたコンピューター関連会社で組合を立ち上げ、解雇された。「へたな組合運動をやって、ただ会社と対立するだけだった」という苦い経験がある。

 しかし、最近は、組合を立ち上げる間もなく解雇される派遣労働者が続出し、住むところを失う人も出ている。古山さんは「会社の寮に居座ってでも生き抜いてほしい。解雇に同意しなければ、会社側は立ち退きの仮処分をしない限り一方的に寮を追い出すことはできない。期限の日に素直に冬の町に出る必要はない」と呼びかける。

 先行きが見えない不況は、会社と従業員の関係はどうあるべきかという大きな問いを突きつけている。「いまは100年に一度の好機。一人ひとりが働く権利、生きる権利について考えるとき」と古山さんは訴える。(宮地ゆう)

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