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【不当労働行為救済申立書】(ひな形1)

            不当労働行為救済申立書

 

              申立人 港区芝2-20-12 友愛会館11F

              JAMゼネラルユニオン○○○○ユニオン

              執行委員長 ○○ ○○

 

              被申立人 大田区・・・・・・・・・

              ○○○○株式会社

              代表取締役社長 ○○ ○○

 

被申立人は申立人組合に対して、労働組合法第7条2号および3号に該当する不当労働行為を行っているので、以下の通り救済命令を求める。

 

            2020年〇月〇日

             申立人 港区芝2-20-12 友愛会館11F

             JAMゼネラルユニオン○○○○

             執行委員長 ○○ ○○

 

東京都労働委員会

会長  金井 康雄 様

 

請求する救済内容

1. 被申立人は申立人組合との団体交渉に誠実に応じなければならない。

 

2.被申立人は申立人組合書記長○○ ○○への降格及び懲戒処分を撤回しなければならない。

 

3.被申立人は東京都労働委員会の救済命令後、1週間以内に下記内容の陳謝分を申立人に手渡すとともに、たて1メートル、横1.5メートルの大きさの白色木板に書いて、被申立人会社玄関の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。

 

               陳謝文

 当社は貴組合に対し団体交渉を不誠実に行いました。このことは労働組合法7条2号に違反の不当労働行為であります。

また当社は貴組合の組合活動に対して支配介入を行いました。このことは労働組合法7条2号及び3号に違反する不当労働行為であります。

上記の行為につき深く反省し陳謝するとともに、今後はこのような行為を一切行わないことを約束致します。

 

                     2020年   月  日

                      ○○○○株式会社

                      代表取締役社長 ○○ ○○

 

不当労働行為を構成する具体的事実

 

1.当事者

(1)申立人組合はJAMゼネラルユニオン○○○○ユニオンであり2020年〇月〇日に結成。現在の組合員は57人である。なお、上部団体であるJAMゼネラルユニオン(以下「JAMGU」という)は組織人員500名の組織である。

(2)被申立人は○○○○株式会社であり、プラスチック製詰め替えボトル製造販売を主な業務として従業員は約120名(正社員103名、他に契約社員、パート)である。

 

2.不当労働行為に至る経緯

 

1労働組合法第72号に該当する不当労働行為

 

1) 2019年度の決算賞与の支給額において大幅な減額があった。申立人が組合員を対象に調査を行ったところ、多くの社員が2017年と比較して減額となっていることが判明した。

 

2) 減額の事実確認と支給金額の再検討の要求のために行った2019年12月21日の協議会において支給額の説明を要求したところ、被申立人の説明では経常税引前の12%との回答があり、特需があった2018年度は例外として、2017年度までの経常税引前の約26%から大幅に減額している事が判明した。

更に役員に対する決算賞与も社員の支給と同日に支払われている事が判明した。

業績悪化の責任の軽重に則した決算賞与の支給額の増減を確認する為に、申立人が要求した役員賞与の支払額の開示は行われなかった。申立人の開示の要求に対して被申立人は「役員賞与の凍結」に言及し、決算を終了し、利益が確定した後に支払い済みの役員賞与との差額を次年度の報酬で調整すると主張。

また申立人からの追及により、被申立人は2019年6月に行った協議会にて、申立人と被申立人の間で交わされた社員に対する決算賞与支給額と社員個々の評価を所属長へ支給前に書面にて発信する約束の反故を「忘れてしまった」と認めて謝罪を行い、社員に対する決算賞与支給額の再検討の結果と役員賞与の支払い内容の開示を次回の協議会において回答することを約束した。

次回の協議会での高知工場と栃木工場から参加する経済的、時間的負担軽減の配慮を要求すると、ZOOM会議システムの使用について被申立人が発案をして終了した。

 

3)協議会において合意した被申立人からの決算賞与支給額の再検討の結果は、協議会で回答する事であったが、2020年1月27日に書面で回答があり、その回答は承服できる内容ではなかった。

 

4)2020年2月10日に再度協議会を開催し、1月27日に書面で回答のあった決算賞与支給額の再検討結果ではまだ待遇の改悪であるため、再度検討の要求を行ったが、検討する旨の回答は得られず、検討できない説明を要求してもこれ以上は支払えないとの回答で明確な説明が行われることはなかった。

2019年12月21日の協議会において申立人からの要求により、被申立人が約束した2019年度の役員の賞与の開示に対しても、本協議会では「義務がない」との理由で約束を反故にしている。

また「役員賞与の凍結」に関してもなんら実効性が無く、この2点に関して、2019年12月21日の協議会で約束した内容とはかけ離れた回答であった。

 

5)2020年2月9日の協議会において、事前に書面にてZOOM会議システムの使用の要求を行ったところ、2019年12月21日に被申立人が発案のあったZOOM会議システムの使用を書面にて禁止との回答がなされた。そのために申立人が被申立人に対して、口頭にて使用禁止の理由の確認を行ったところ「ZOOM会議システムは業務のためのものだから。前例を作るのは良くない。」「社長が決めたことだから。」、「いいんじゃない?」との回答により使用を一方的に禁止した。

 

2労働組合法第73号に該当する不当労働行為

 

1)被申立人は、組合活動の一環として申立人組合の書記長○○○○が「月間労働組合ニュース」2019年5月号に掲載した記事(「甲第1号証」)の内容を会社への批判と断定し、“真実であるかどうかを確認する目的”と称する『調査委員会』を立ち上げ、2019年8月20日16時、当人を抜き打ちにて会議室へ呼び出し、弁護士参席の上、〇〇取締役、〇〇部長、〇〇課長により、「記事の内容は事実ではない」とし、記事の内容に関する尋問を始めた。本件は業務外であることから、尋問を拒否し、質問は書面で出すように書記長○○○○が依頼した。

〇〇取締役は既に、回答させた後で本人が署名する形式の質問状を所持していたが、その時には渡されず、8月23日朝に文書が出された。それに対し、書記長○○は「内容は真実である」旨の回答書を8月23日に提出した。それを不服として〇〇取締役より、9月1日再び質問状を渡されたが、9月6日に再び「真実である」旨回答した。すると非申立人は次に、“真実かどうか”ではなく、“社内情報を外部へ漏洩した”とし、『懲罰委員会』を立ち上げた。

申立人組合は、10月24日に開催された団交にて『懲罰委員会』の撤廃と不当処分を出さないよう求めたが、被申立人は、拒絶した。

被申立人は、書記長○○に対して、2020年1月10日に不当な「懲戒処分通知」(「甲第2号証」)を発し、始末書の提出を要求した。この要求に対し申立人組合は、文書にて撤回を求めたが、1月18日再度懲戒通知が出された。

 

2)申立人組合は、①の行為に対し労働組合法7条3号に規定する正当な組合活動への介入として抗議した。被申立人は、要求した文書での回答に対し全く無視をした。

 

3)さらに①の行為と平行して、書記長○○に対し、「待遇は変えない」が、組織再編との理由で「係長」から「主任」への降格を、口頭及び書面をもって言い渡した。書記長○○は降格理由を書面で求めたが、的確な回答はなかった。

書記長○○の他2人に対して同様に「待遇は変えない」が、組織再編の理由にて、書面に「係長」から「技師」への降格合意の捺印を強制した。1月1日付で配布された2020年度の組織図(=辞令)によると、前述の合計3人に対して降格が行われ、3人のうち2人が組合執行委員である。

 

3.不当労働行為の具体的事実

 

(1)請求する救済の「1.」について

 

1)2019年12月21日の協議会において約束をした「役員に対する決算賞与の開示」は「義務がない」との理由で反故にしている行為は不誠実そのものでる。

 

2)役員賞与の支払い金額の増減は2019年度の社員の決算賞与の大幅な減額の是非に大きな影響があるとする申立人との約束に応じていない。

 

3)2019年12月21日に12名の執行委員を高知工場、栃木工場から自らの有給を使用し、組合費を使用して移動し開催した。

被申立人は最高決定者たる社長が参席し、申立人は事前に協議会の内容を文書で提出し、準備を促したにも関わらず回答が得られなかった。

回答のために再度協議会を開催するにあたり、負担の顧慮を要求したところ、被申立人が自発的に発案を行ったZOOM会議システムの使用についても一方的に禁止とし、高知工場の6人の参加予定者のうち、都合のつかなかった5人は参加することができず、直接回答を受け取り、非の事項に対する要求を行う機会を失ったことの原因はすべて非申立人の約束の反故に起因しており不誠実な行為である。

 

 

(2)請求する救済の「2.」について

 

1) 書記長○○が「月間労働組合ニュース」へ投稿した記事は、内容的にも事実そのものであり、また、被申立人を誹謗・中傷したものではない。

 

2)組合は、正当な組合活動の一環として雑誌・新聞等に投稿する等の活動を行っている。申立人組合は、集団的労使関係・労使自治へ向けた活動として行ったものである。被申立人が、申立人組合の正当な組合活動に支配介入するのは論外である。

3)被申立人が書記長〇〇に対して行った懲戒処分、また降格は、正当な組合活動に対する支配介入であり明らかに不当労働行為といえる。

 

4.結語

以上の通り、被申立人の行為は労働組合法第7条2号、および3号に違反する不当労働行為である。2018年にも不誠実団交にて東京都労働委員会へ救済申立てを行った結果、2019年に改善を約束し和解したにも関わらず、改善は見られない為、速やかに救済命令を発せられたく、本件申立に及んだ

 

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